人文情報学シンポジウム 資料集

— キャラクター・データベース・共同行為 —

おかげさまで無事終了することができました。

予想以上に各発表のつながりが意識でき、 非常にエキサイティングな議論ができたことに、 うれしい驚きを感じています。

発表者および参加者の皆様に感謝申し上げます。

プログラム(発表資料)

3月2日(金)

(13:15〜) Opening

(13:20〜14:05) 師 茂樹(花園大学)「制御文字考」

(14:05〜14:50) 上地 宏一(慶応義塾大学) 「多漢字グリフデータ共同管理環境の構築」

漢字字形を従来の字形輪郭記述方式ではなく骨格肉付方式でデータ化する KAGEシステムを応用し、各漢字グリフをWikiにおける1ページとみなして、 Web上で漢字グリフを共同管理する環境の構築について紹介する。 符号化文字集合に収録されていない文字や、 ユニフィケーションの対象となった異体字、 各組織・団体で管理している異体字データベースの管理が可能となるだけでなく、 漢字フォントの共同デザインについての可能性についても言及する。

[発表資料]

(15:00〜15:45) 江渡 浩一郎(独立行政法人 産業技術総合研究所) 「Wikiの本質とは何か」

(15:45〜16:30) 野村 英登(東洋大学)「チープな人文情報学の可能性について」

古典中国学の領域におけるコンピュータ利用として大多数を占めるであろう、 コンピュータやデータベースを 工具書のような便利な道具としてのみ研究に利用する立場は、 時に方法論的な省察を欠いた安易な取り組みとして、 人文情報学に深くコミットする立場から批判される場合もないではない。 しかしここでは、 むしろ現状を道具としての利用がいまだ不徹底な状態として肯定的に考え、 安易さをより徹底することで実現されるであろう、 「チープな人文情報学」の可能性を検討してみたい。

(16:30〜16:45) Free discussion

(18:00〜) 『第5回(仮称)人文情報食話会』(懇親会)

3月3日(土)

(13:15〜14:00) 河田 学(京都精華大学非常勤講師) 「人文学に《信念》は必要か?──フィクション論からの視点」

《信念》という概念は、人間をめぐるさまざまな事象を説明するうえでは、 非常に強力な概念である。 しかしその一方で、 信念を含む言明をどう扱うかという問題は哲学者たちを 悩ませてきたのもまた事実である。 フィクションにかんする理論的研究においてもまた、 フィクションにたいしてわれわれが《信念》を形成するのか否かは フィクションをめぐる主要な問題の一つである。 本報告では、説明上のガジェットとしての《信念》の存在意義、 あるいは逆に《信念》なしでやっていく可能性を模索する。

[梗概 (long version)] [発表資料]

(14:00〜14:45) 坂内 千里(大阪大学)「『説文解字繋傳』データベース化の試み」

研究成果及び研究過程で作成した資料を、 再利用可能な形で蓄積するひとつの方策として、 『説文解字繋傳』のデータベース化を試みている。 データの再検証を容易にし、その信頼性を高めるためには、 底本としたテキストの画像を常に参照できるようにする必要があると考える。 そこで、『説文解字繋傳』のデータベース化にあたり、画像データを、 電子テキスト・作成資料(今回は、出典データ)と関連付け提示するための 方法について検討してきた。その概要を提示する。

(14:55〜15:40) 守岡 知彦(京都大学)「キャラクターを考える」

著者らは、 符号化文字モデルの問題点を解決するために、 『文字を指し示すとはどういうことか』 『文字を使うということはどういうことか』という 『文字の存在論』の観点に基づき Chaon モデルを提案し、それに基づく文字処理システム CHISE を開発してきた。 『文字の存在論』は 符号化し得るものが抽象概念であるにも関わらず、視覚的情報に関連し、 その一方で、視覚的情報では抽象概念そのものを表現できないというジレンマ に翻弄される世界である。 こうした抽象概念と視覚的(身体的)表現の狭間に存在する 『キャラクター的なもの』 を文字とマンガやアニメのキャラクターなどを比較することで考えてみたい。

(15:40〜16:25) 石田 美紀(関西大学非常勤講師) 「キャラクターが生まれるとき──高畠華宵の「華宵顔」」

マンガ、アニメーションは演劇、映画とは異なる表現媒体である。 この弁別は、文化的格付けによるものではもちろんなく、 身体表象の根本的差異によるものである。 演劇、映画における登場人物は、 物語世界と俳優の実在身体によって、二重に保証されている。 いっぽう、マンガ、アニメーションにおける身体はそうではない。 しかし、平面に描かれただけの身体像が、実在身体と同等の、 あるいはそれ以上の内実を呼び込むものであることは、 キャラクター・ビジネスの隆盛が示すとおりである。 本発表では、 日本において最初にキャラクター・ビジネスを成功させたともいえる挿絵画家、 高畠華宵(1888-1966)のキャラクター・デザインを例にとり、 平面に描かれた身体がある種の内実を持ち得る過程を考察する。

[発表資料]

(16:25〜16:45) Free discussion, closing


案内文


Last modified: Fri Mar 30 19:29:20 JST 2007